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「地域おこし協力隊」という選択③

 「地域おこし協力隊になる」。そう心に決めて5月に入り、実際に履歴書を送ったのは、香川県土庄町(小豆島にある町)、高知県四万十町(最後の清流・四万十川の流れる町)、そして長崎県新上五島町だった。

 正直なところ、気になる地域はたくさんあったけど、退職を予定している8月から間を開けることなく働くことができることを最も優先して(経済面や社会保険の手続きを考慮したかったので)、応募先を絞っていった。仕事をしながらの応募だったので、面接を受けられる回数は限られてくる。勤務体系や雇用形態、給料、仕事内容を比較して絞った3つの自治体に履歴書を送った。

 土庄町と四万十町は、移住相談会でそれぞれの自治体の担当者に会って話を聞き、興味を持った場所だった。新上五島町は、ホームページで見たキリシタンの歴史と美しい海の写真に惹かれた夫がなんとなく真っ先に応募。募集定員が2人だったため、2人とも受かったら一緒に住むことができるやんと、あわてて私も履歴書を郵送。離島だし、よく調べると空港がなくて船でしか行けないし、コンビニもなさそうだし(実際には2軒あった)、実家の奈良から遠い…などの不安要素が最も多かった町。でも、よく分からないからこそ、なかなか行けないからこそ、なんだか面白そうだと思った。どうせ移住するなら、どーんといこうじゃないかと。

 結局、現地を訪れて面接まで受けたのは、新上五島町と四万十町の2つ。どちらも「ぜひ来て欲しい」という熱いお返事をいただいた。それでも現地を訪れてみて、その土地の空気や人に触れて、私たちは新上五島町に住みたいと思った。訪れた日にちょうどにっぽん丸が青方港に寄港していて、私たちは対岸の防波堤に座りながら、島の人たちが大漁旗を振っていつまでも大型客船を見送る姿を眺めていた。歩いて大曽教会まで行って、18時の鐘が鳴って、ミサのために集まってきた人たちとすれ違いざまにあいさつを交わして、またゆっくり海沿いを歩きながら宿に戻って、美味しいご飯をいただいた。迫害の歴史や捕鯨時代の繁栄などいろんな歴史が色濃く残り、ゆったりと心地よい時間の流れるこの島で、私たちは生きてみたいと思った。一生懸命生きようと思った。

 移住を決めるときに分かったことが一つある。生活環境や移住支援などは選ぶときの大きな指標になるかもしれないけど、一番の決定打は縁だということ。その地域に強く惹きつけられる何かがあるかどうか。縁を感じるかどうか。ここに住みたい!と思えるかどうか。コンビニがあるとかないとか、生活しやすいかどうかなんて、あまり関係ないかもしれない。どんな場所だって、住めば都になるから。

写真は初めて新上五島町を訪れたときの写真。なぜクジラの像なのか、このときはまだよく知らなかった。

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